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既存不適格建築物の規制

 今回は、既存建物を増改築する上で知っておきたいテーマとして「既存不適格建築物に係る規制の合理化」をテーマにお話しさせて頂きます。

 この度、2012年9月14日「建築基準法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定され、国土交通省より公表されました。改正内容は「既存不適格建築物に係る規制の合理化」という物です。
「既存不適格建築物」とは建築基準法又はこれに基づく条例の規定などに適合した建築物であったものが、法改正により建築物の全体または一部が適合しなくなる状態の建築物のことです。
 「既存不適格建築物」は建築時のままで継続して使う場合は、構造耐力規定において不適合のまま存在することが認められています。しかし、一定の規模を超える増改築や大規模の修繕・模様替えを行う場合は原則として既存の部分を含めて建築物全体を適法な状態にする必要があります。その結果、既存建物のリノベーションが進まないといった弊害を生んでいました。そこで今回の改正において一定の安全性が確保されれば既存建築物の大規模増改築を認めていこうという改正になりました。

 国土交通省報道発表資料より改正概要を以下記載します。「建築基準法施行令第137条の2を改正し、建築基準法(1950年法律第201号)第3条第2項により同法第20条の規定の適用を受けない既存不適格建築物に係る増築又は改築の特例措置について、増改築に係る部分の床面積が延べ面積の2分の1を超える大規模な増改築であっても地震その他の震動及び衝撃による当該建築物の倒壊等のおそれがない場合には、現行の構造耐力規定の全てに適合されることを求めないこととする」

 また、今回の改正では、専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分、蓄電池・自家発電設備・貯水槽を設ける部分について、床面積を一定割合の範囲内で不参入とするといった内容も盛り込まれました。以上の二つの改正は     2012年9月20日より公布・施行されました。

 時代背景に合わせ常に細やかな法改正が行われています。長期の事業展開を見据え情報を機微に据えていきたいものです。

医療タイムス紙 平成24年10月1日 掲載