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開業と医療機器類の準備~電子カルテとの連動~

 医院の新規開業に関して少し触れてみたいと思います。10数年前と比較しますと、クリニックの数は格段に増加していると思われます。どの標榜科に限らず診療圏的には以前と比べものにならないほど厳しい状況であると思います。そんな中で診療に大きな役割を果たし、クリニックの特徴を作り出すものの1つに医療機器があります。開業準備をするに当たり医療機器の導入に関して基本的な内容をご紹介したいと思います。
 今回は設備投資の1つである医療機器類について、選定から導入そして稼働までのポイントを幾つかお話してみたいと思います。
 まずは医療機器の選定とその予算額の把握です。開業には綿密な事業計画が必要で、医療機器類の購入費用を収支シミュレーションのために計上する必要があります。また、MRIやCTは開業後に高額な保守料が必要になりますし、電子カルテ、画像ファイリングシステムの保守料も含めて確認しておく必要があると思います。
 次は建築との絡みです。建築はまず基本設計が行われ建物の外観や敷地内の配置が具体的な絵となります。次は実施設計です。X線、MRI、CT等の機器類はこの段階で図面に表記して必要スペースを確保し部屋の面積を割り出します。部屋ごとの医療機器配置やコンセントの位置、数、給排水の場所等を決めて行きます。機器のカタログや仕様書等の詳しい情報を準備し設計士の方との打ち合わせを進めましょう。
 電子カルテは新規開業の場合、ほとんどのクリニックで採用されています。また医療機器との連携は必須項目です。実施設計の段階で選定対象メーカーに確認をして院内インフラを構築して行きます。以前と違い電子カルテメーカーと各種医療機器との連携はほとんど実績がありますので心配は無いと思いますが、念のため早めに連携機種の確認と画像ファイリングソフトの選定を進めておくと良いと思います。
 後は医療機器類の搬入時です。必ず必要なステップが電子カルテと医療機器類との連携テストです。これを怠らないようにして下さい。オープン前の模擬診療では落ち着いて患者の流れとスタッフの対応を確認したいので、それまでには連携がきちんと出来ている事が必要です。
 開院当日は医療機器の操作が分からない時や不具合のためにメーカーの方に待機して頂きます。医療機器は高価な買い物です。しっかり選定して準備を進めて下さい。


平成28年 6月10日  医療タイムス紙掲載