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医療機器、備品の会計処理

 個人経営の先生方は、確定申告を前に経費を計上するため駆け込みで備品等の購入を検討されている方も多いのではと思います。今回は備品、医療機器購入の会計処理の仕方についてご紹介させていただきます。
 
 備品等を購入した際、1個あたりの金額が10万円を超えるか超えないかにより、会計処理が異なります。10万円未満の備品等は購入した年に全額経費化が可能です。一方10万円を超える場合は固定資産となり、原則資産ごとに決められた法定耐用年数に従い、数年間かけて経費化していきます。ただし、20万円未満の場合は「一括償却資産」、30万円未満の場合は「少額減価償却資産」という償却方法を選択することができます。
 両者の違いは、経費化できる年数と償却資産税の有無です。償却資産税とは固定資産税の一種で、備品等に課税される税金です。「一括償却資産」を選択した場合は、3年かけて経費化します。購入した年に全額経費に計上することはできませんが、償却資産税が課税されないメリットがあります。「少額減価償却資産」を選択した場合は、購入した年に全額経費化が可能です。ただし、償却資産税の課税対象になる点と限度額が年間300万円までという点に注意が必要です。また、開業又は廃業があった場合、限度額は月数按分により300万円より小さくなる場合があります。限度額を超えた分の資産は法定耐用年数に応じた減価償却の計算となりますのでご注意ください。
 
医療機器の場合は概ね5~6年かけて経費化される場合が多いですが、30万円以下の機器であれば購入した年に全額経費化が可能となります。購入が必要な備品・器械があり、今年の税金をなるべく節税したい場合は上記の償却方法の選択を検討いただくことをお勧めいたします。


10万円未満 : 経費 ・ 一括償却資産 ・ 少額減価償却資産 ・ 固定資産
            会計処理/全額経費
            償却資産の有無 /対象外

10~20万円未満: 一括償却資産 ・ 少額減価償却資産 ・ 固定資産
            会計処理/3年で経費化
            償却資産の有無 /対象外

20~30万円未満: 少額減価償却資産 ・ 固定資産
            会計処理/300万円まで全額経費化
            償却資産の有無 /課税

30万円~     : 固定資産
            会計処理/耐用年数に応じて経費化
            償却資産の有無 /課税


医療タイムス紙 平成27年11月20日 掲載