お知らせ

処方箋の電子化で効率化~医療機関と薬局連携~

 2025年(平成37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立した生活、住み慣れた地域で安心して自分自身の人生を最期まで全う出来るように、地域の包括的な支援・サービス提供体制を構築すべく各市町村が動いています。住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムの構築です。包括的にさまざまな職種が連携して行くのですから情報を管理・共有するためにもICT化が必要になって来ます。
 その中で医療機関と薬局間でやり取りする処方箋の電子化について触れたいと思います。処方箋は医療機関と薬局との情報のやり取りのみならず患者自身が医療の内容を確認できるもので、電子化することにより電子版お薬手帳との連携が可能になり、健康増進のための利用範囲も広がって来るものと思います。電子処方箋の運用についてですが、地域医療連携ネットワークなど実施環境の整った地域で順次運用を開始して行くことになっています。ネットワークを通じてアプリケーションサービスプロバイダが提供するASPサーバを利用する事になっています。医療機関と薬局との情報提供を安全に行う事が出来るため、処方情報や調剤情報の提供方式が定まるため、医療機関と薬局での業務の効率化が出来るため等の理由が上げられます。
 また、医師・歯科医師は処方箋に記名押印する必要がありますので電子署名が必要となり、受信者はこれを検証できなければならないため、電子化を行う地域においてHPKI(保健医療福祉分野の公開鍵基盤)が普及していることが条件になります。本格運用までの間は、電子処方箋に対応している地域以外の薬局で薬剤を受け取る場合があることを想定して、紙の処方箋と電子処方箋が併用された移行期の仕組みを用意することになります。電子処方箋の導入は、単に電子化だけを進めるのではなく、医療機関から薬局への調剤情報の提供や薬局から医療機関への調剤の結果の提供(薬剤変更等)により、現在、取り組まれている地域医療連携の促進につながることが求められています。
 処方箋の電子化のメリットは、構築されたシステムを利用して医療機関と薬局間で、病名、検査値などを共有できる可能性があることもその1つだと思います。医療機関と薬局側とのより一層の連携が進み、我々患者にとってより良い医療環境が提供されるようになる事を期待したいと思います。

平成28年10月20日  医療タイムス紙掲載