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連帯保証契約に極度額~

今回は、身近にありながら意外に難解な「不動産取引」第三弾として「民法」を取り上げます。
2017年6月「民法の一部を改正する法律」が公布されました。施行日は公布日から起算して3年を超えない範囲において政令で定める日とされており、改正内容が多岐にわたることから2020年1月~4月頃と予想されています。民法は私達にとって最も身近な法律の一つですが、その内容は多岐にわたります。今回の大改正では民法のなかの債権(特定の者に対して特定の行為をすることを求める権利)に関する定め(いわゆる債権法)が対象となります。
『個人保証』
 現行の民法では、個人が保証人になる根保証契約については、貸金等の債務が根保証の範囲に含まれる契約(貸金等根保証契約)に限り、極度額(保証人が負担する可能性がある最大の金額)を定めることを要件としていましたが、改正後は、貸金等根保証契約でない個人の根保証契約についても極度額を定めることとなりました。
○アパート・マンションの連帯保証契約
 皆さんのなかには、子供や親戚がアパート・マ.ンションを借りる時に、連帯保証人として契約書に名前を書いたことがある人も少なくないと思います。この連帯保証契約が前段で説明した「貸金等根保証契約でない個人の根保証契約」に当たります。
○どのような影響があるのでしょうか?
 改正後は極度額を契約書に記載しなければならず、この極度額の記載のない連帯保証契約は無効となります。
○極度額に基準はあるのでしょうか?
 法律で賃料の何カ月分等の具体的な決まりがあるわけではありません。
例えば、未払い賃料60万円、原状回復費用20万円の場合は、極度額は80万円となります。金額ではなく「賃料○ヶ月分」という記載でも構わないようです。心情的には、契約締結時に、将来負担する可能性のある金額を具体的に記載された書面に署名することは、自分の子供ならまだしも親戚等であればいささか抵抗があるのではないでしょ
うか。
反面、極度額が定められているということは、未払い賃料が100万円あっても、極度額が50万円であれば連帯保証人は50万円を支払えばその責任を免れることになります。極度額が低ければ貸主のリスクが増え、高ければ連帯保証人になる人が減るといえます。そういった背景を踏まえ、不動産業界では債権法改正後、連帯保証人になる人が激減することを見込み、新たに保証ビジネスに参入する保険会社も出てきています。

  平成30年1月1日 医療タイムス掲載