お知らせ

院外利用の必要性と安全性~クラウド型電子カルテの検討~

 新規開業される診療所では電子カルテは当然導入されるといっても過言でないほど普及しています。レセコンの導入がほとんどで、「電子カルテは不安定で使い勝手がもうーつで、まだまだ導入は早いな」と言われた頃から数年で電子カルテが入りだし、画像管理システムのPACS、さまざまな検査機器類との連携が可能になり始めると、あっという間に開業される診療所のほとんど全てで導入されるようになりました。
 当時、電子カルテ導入のメリットは先生方のほとんどがペーパーレス化を第一に挙げていました。最近では、カルテ作成やレセプト作成のミスを防ぐ「自動チェック機能」が搭載されており、PACSや検査システム等と連携して、CR画像や検査結果などのデータを一元管理できます。ノートパソコンなどで往診先や自宅に持ち運ぶ事ができ診療所以外でも入力可能になっています。今やこれらのメリットは電子カルテとしては当然といって良い機能となっています。  
 今、オンプレミス型電子カルテ(院内にサーバーを設置し院内でカルテのデータを管理する従来型システム)に対して導入シェアを大きく伸ばしてきているのがクラウド型電子カルテです。設置台数にもよりますが、オンプレミス型電子カルテの初期導入費用とクラウド型とを比較すると後者の方がサポート会社に導入・サポートを依頼したとしても安価に導入が出来るのが現状のようです。
 また、サーバーのハードディスクも必要無い為診察デスク周辺もスッキリしてきます。「画像検査機器からのデータ連携」等はオンプレミス型の方が充実していたのは事実であり、クラウド型電子カルテでは心配な面がありましたが、近年連携もかなり充実してきています。
 現在はクラウド型を扱うメーカーや製品が増え、セキュリティーも向上し在宅診療等の院外利用の必要性やアプリケーション等の機能的な向上の背景からクラウド型の電子カルテを導入する施設が増加していくのではと予測されます。また導入・設置・メンテナンスを先生がご自分で行わなければならない商品もありますが、この様な場合サポート業者と契約する事により導入も可能になると思われます。その場合は導入・メンテナンスに関する費用に注意する必要があります。
 これらの点に注意してクラウド型電子カルテを導入対象として検討する事も良いのではないでしょうか。
  令和2年6月10日 医療タイムス紙掲載