AIの責任は誰がとる
昨今の生成AIブームの影響もあり、さまざまな分野でAIの活用が進んでいます。
つい先日も画像生成AIのデモンストレーションで、ラフなスケッチから、まるで写真のようなリアルな画像が数分で生成される様子を目の当たりにし、そのポテンシャルの高さに驚かされました。
医療分野も例外ではなく、AIの活用が進んでいます。AIに画像を分析させ、医師が見逃しがちな小さな異変に警告を発してくれたり、患者の問診票をAIが読み取り、疑わしい病名をピックアップしてくれるなど、医師の良きパートナーとして活躍しています。
しかし現状では、AIが主体となって診断することはなく、あくまでもAIは医師を補助するツールという位置づけであり、最終的な判断は医師が行っています。それはなぜでしょうか。
車の自動運転が普及すれば、交通事故は減ると言われていますが、その普及を阻害している要因の一つに自動運転中の事故の責任を誰が負うのかという問題があります。
通常の事故のように運転手(運転はしていませんが)の責任なのか、AIの判断ミスが疑われれば車のメーカーが責任を負うことも考えられます。
医療においても同様で、AIの判断の誤りにより発生した問題の責任を誰が取るのか、それを決めないことには、それ以上の活用は見込めないのです。
冒頭の画像生成AIの例を挙げるまでもなく、AIの技術の進歩は目覚ましいものがあり、今後もAIの判断はより早く正確になっていきますが、誤りの可能性をゼロにできない以上、AIを主体とした医療への道のりは遠いと言わざるを得ません。