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事業展開見据え情報を~

今回は「医療法人制度」について取り上げます。
「医療法人制度」では「基金拠出型医療法人」、「認定医療法人」、「地域医療推進法人」が新たに誕生するなど複雑になってきています。よって「医療法人制度」の基本的な部分を確認したいと思います。
「医療法人」は昭和25年医療法にて創設されました。その後の医療法改正のたび「一人医師医療法人」の認可、医療法人の「附帯業務の拡大」などの制度見直しが重ねられてきました。直近の改正では、平成27年の第七次医療法改正において、医療法人制度の見直しと経営の透明性の確保を主眼とした改正が行われています。
医療法人制度のなかで、貫かれている特徴としては、医療法人の「非営利性」が上げられます。これは、医療法第7条「営利を目的として、病院・診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、第一項(開設)の許可を与えないことができる」という規定から伺えます。
また、医療法54条「医療法人は剰余金の配当をしてはならない」との規定を後押しするかたちで、第五次医療法改正では、平成19年4月以降の新設医療法人は「基金拠出型医療法人」もしくは「持ち分なし医療法人」を選択することとなりました。
今までは「退社社員に対する持分の払戻は、退社当時当該医療法人が有する財産の総額を基準として、当該社員の出資額に応ずる金銭でなしても差し支えないものと解ずる」とされ実質的に剰余金の配当が容認されてきました。しかし、今回の「基金拠出型医療法人」制度の導入をもって「基金」という特性(出資金ではなく貸付金)をもってただしたといえます。
最後に、「医療法人成り」への相談をよく承りますので、メリット、デメリットを記載して終わろうと思います。
メリット 節税効果、給与所得控除、所得の分散効果、役員退職金支給、分院や介護施設など事業拡張など。
デメリット...法人の事業内容への制約、医療法人の資金使途の制約、解散時剰余金の帰属など。
時代背景に合わせ常に細かな法改正が行われ、その改正趣旨から今後の方向性を読み解くことができます。長期の事業展開を見据え情報を機微に捉えていきたいものです。
 
  平成29年8月10日 医療タイムス掲載