税務調査で「期ズレ」注意
医療機関を経営していると、税務署が実施する「税務調査」について気になるところです。
あまり知られていませんが、税務調査は9月から12月の時期に多く実施されます。
これは、税務署の人事異動が毎年7月に行われ、その後人事異動が落ち着いてから調査先が選定されるためです。
現在は10月ということでその時期にあたりますので、医療機関が税務調査でよく指摘されるポイントについて取り上げます。
税務調査では、収入の計上漏れや経費の過大計上など、複数の視点で確認が行われますが、今回は必ず確認される収入の「期ズレ」について取り上げます。
医療機関では、個人診療所であれば12月31日、医療法人であれば任意の日を期末日として、1年間の収入を集計し税務申告を行います。
その際、診療が期末日までに実施されている場合、その報酬が期末以降に入金されるものであっても、診療した日の属する期の収入として計上しなければなりません。
もし入金が期をまたいだ後に計上された場合、「期ズレ」として収入の計上漏れを指摘されることになります。
決算時に「売掛金」や「未収入金」として計上すべきものが漏れていないかを確認することが重要です。
代表的な「売掛金・未収入金」として計上すべきものには、2か月後に入金される保険診療の社会保険・国民健康保険の請求収入が挙げられます。
その他にも、期末日時点で未収となっている窓口収入、クレジットカードなどを用いた窓口収入、公費扱いの予防接種の収入、
整形外科であれば労災保険や自賠責保険の収入、小児科であれば福祉医療事務手数料なども、診療後一定期間を経てから入金されるため、これらの収入が対象となるので注意が必要です。
決算時には、以上の視点から収入が「期ズレ」となっていないか確認することをお勧めします。