お知らせ

開業医の遺言書作成

近年、クリニックの院長先生からの遺言書作成相談が増加しています。

開業医は一般的に相応の財産を有しており、相続税申告の対象となる可能性が高いため、適切な遺言書による財産分配が行えれば、相続税の負担を軽減できる可能性があります。

このほかにも、遺言書作成の主なメリットとして、相続手続きの簡略化が挙げられます。遺言書があれば遺産分割協議を省略できるため、クリニック運営に支障をきたすことなく、迅速に相続手続きを完了できます。

また、クリニックの土地建物や医療機器などの高額資産を誰に相続するのかを明確にすることで、相続人同士の無用な争いを防ぐことにもつながるでしょう。

遺言書作成時には、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。

まず、せっかく作った遺言書が無効とならないように、法的要件をクリアする必要があります。公正証書遺言など法的効力のある形式を選択することをお勧めします。

次に、医療法人の出資持分や基金、貸付金など、医療機関特有の資産も含めた詳細な資産リストを作成することが重要です。特に注意が必要なのは、出資持分のある医療法人の場合です。

2007年4月1日以前に設立された「持分あり」の医療法人では、過去の利益の積み重ねが純資産となり、出資額を株式会社の株式と同様に相続税評価するため、多額の相続税負担が生じる可能性があります。このため、早期からの対策が重要となります。

また、クリニック後継者以外の相続人にも配慮し、遺留分に注意を払う必要があります。遺言書作成には法律や税務の専門知識が必要なため、公証人、弁護士、税理士などの専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

開業医の遺言書作成は、単なる財産分配ではなく、長年築き上げた地域医療の継続と家族の未来を守るための重要な準備です。早めの対策で、納得のいく遺言書作成をされることをお勧めします。