既にご開業の方
税務会計
永続経営を目指すためには、
未来への投資のための資金確保が重要です
そのための代表的なコスト削減方法を
ご紹介します
コスト削減方法のご提案
病院や診療所の永続経営を目指すためには、毎年の利益を確保し、事業体の資金余力を増やし、未来の投資のための資金確保をしていくことが欠かせません。利益確保のためには「収入の増加」、「支出の減少」、このどちらか、もしくは両方の取り組みが必要です。先生方の多くが診療報酬や患者数といった収入に対してのことは良く検討されるのですが、一方の支出(経費)については見直しをされていないケースが多いように感じます。今回は、代表的なコスト削減方法をご紹介させていただきます。
リース契約のコスト
リース契約は医療器械や車両など高額な物品を導入する際に用いることが多いのですが、リース料は同じ物品であっても契約するリース会社によって支払うリース料が異なります。多くの方は販売業者より紹介されたリース会社と契約しないといけないと考えがちですが、必ずしもそのようなことはありません。従って契約時には複数社からリース料の見積もりを取って比較、検討をしたいものです。特にリース契約は基本的に途中解約ができないため契約時の検討が重要となります。また、契約期間終了後の取り扱いについても事前に確認しておくと良いでしょう。
医療器械の中には長期間にわたって使用可能で、入れ替えのサイクルが非常に長いものも見受けられます。このようなリース期間よりもはるかに長く使用できる医療器械については自己資金や借入による資金調達で購入する事も一考です。
生命保険のコスト
生命保険は生涯の中で住宅や教育資金と同様に大きな支出であるといわれます。生命保険は必要な保障額をできるだけ安い保険料で契約したいものです。
ある先生からの相談事例のケースで見直しを考えてみましょう。先生は万が一の際に事業の借入金が家族に残らないこと、お子さんが無事大学を卒業できるように学資の備えとすることの2点を目的とした生命保険にご加入されていました。
保険契約を確認するとそれは1億円の保険金が20年間保障される「定期保険」でした。しかし必要保障額を考えると借入金残高は返済に伴って減少し、お子さんの学資資金も、お子さんが大学を卒業するまでの年数が減るほど減少してゆきます。そもそも家族構成や環境の変化がなければ必要保障額は年とともに減少してゆくのが普通です、従って資金繰りが厳しい中で、20年後まで1億円の備えは過剰ともいえます。
そこで、先ほどの定期保険を「逓減保険」という保険金額が年々減少してゆくタイプに切り替える検討を行いました。こちらにすることで毎年の必要保障額と保険金額を近づけることができ保険料を節約することができました。
実際、定期保険で毎月33,600円の支払いであったものが、逓減保険に切り替えることで16,200円になり半額以下の金額となり、年間で208,800円コスト削減となりました。(加えて、健康に自信がありタバコを吸わない方は割引がある、さらに保険料を削減することができる場合もあります)
借入金利息のコスト
事業が順調に進み資金に余裕が出てきた時に、多くの先生が開業時にお借りしていた金融機関からの借入金の繰上返済をご検討されることと思います。繰上返済は当初の契約により定められた定時の返済額以上に、一括で大きな金額を返済することで、その後支払う利息額を軽減できるというものです。その際の注意点をいくつかご紹介いたします。
1. | 繰上返済を行うためには金融機関に支払う手数料がかかります。また違約金が発生する場合もありますので、まずは借入金融機関に問い合わせるなど、契約内容を確認しましょう。 |
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2. | 返済した後に資金不足にならないようご注意下さい。新しい設備投資等の予定や季節変動による収入の上下、賞与、納税資金の準備状況をご確認下さい。 |
3. | 複数借入金がある場合ですが、どの借入金を繰上返済すると、より大きなメリットが得られるでしょうか。検討する際にチェックするポイントは以下の点です。金利、現在の借入残高、残りの返済年数、固定金利か変動金利か、担保、連帯保証人の状況、団体信用保険の有無、等 |
この中で多くの方が意識されているのは金利だと思いますが、金利が異なる次の2つの借入金を繰上返済した場合の軽減効果を比較すると意外な結果が出てきます。
金利 | 残高 | 残りの返済年数 | 利息軽減額 | |
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(I) | 3.0% | 500万円→0円 | 5年→0年 | 38万円 |
(II) | 2.0% | 1,000万円→500万円 | 10年→5年 | 75万円 |
(Ⅰ)全額返済した場合、軽減できる利息は約38万円です。一方(Ⅱ)1,000万円のうち、500万円を部分返済し、残りの返済年数を10年から5年に短縮した場合に軽減できる利息は約75万円です。このように一見すると(Ⅰ)の方が金利が高く、繰上返済を優先的に行った方が良いと考えてしまうのですが、(Ⅱ)のように低い金利でも長い期間で借りているものを繰上返済することで、より利息支払い額の軽減効果が期待できることもあります。
(住宅ローン控除を受けている借入金の場合返済期間10年以上という条件がありますので期間短縮にはご注意下さい)
上記は軽減できる利息額を比較したものですが、将来金利が上がることを予測すると変動金利の物を先に返済する方法もあるでしょうし、連帯保証人や団体信用保険加入状況によっても、優先順位は変わってきます。まずは全ての借入金の条件を比べてみて、繰上返済を検討されることをお勧めします。
上記でご紹介させていただきましたコスト削減方法は、本サイトの研究所日誌の過去投稿分より改編して作成しております。今後も研究所日誌にお役立ち情報を掲載していきますので、楽しみにお待ち下さい。